ナオコガイドのアイルランド日記

観光ガイドによるアイルランド生活・旅情報

雪の日のブッシュミルズ・イン

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雪のブッシュミルズ・インも素敵

数日間、アイルランド本の追加取材&撮影のためにベルファーストに行っていました。
昨日は雪が降ったりやんだりする中、ジャイアンツ・コーズウェイ近くのブッシュミルズ・イン(Bushmills Inn, Co. Antrim)へ。ここは夏の間お客様をお連れして頻繁にお世話になるホテルですが、日本人グループが利用する時にはいつも、ホテルに日の丸をかかげて歓迎してくれるのです。

昨日はお客様もご一緒ではないし、日の丸は見られないね~なんて友人と話ながら到着してみると…。なんと雪ふる中、日の丸がはためいているではありませんか!

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じゃ~ん!私たち2人のためだけに、悪天候の中、日の丸を立てて待っていてくれたのでした。感激…

営業部長のニッキーが出てきて、かつてコーズウェイへ行く旅人を泊めるコーチングインだった歴史あるホテルの中を詳しく案内して見せてくれました。

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窓の外も雪景色。なんだかクリスマスみたい♪

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泥炭の燃える暖炉でくつろぐご夫妻

今回いくつかのホテルを見て回ってつくづく感じたことですが、アイルランド人というのはホスピタリティー・ビジネスに本当に長けていて、さりげない気づかいやフレンドリーさの頃合いがなんとも上手い。
ブッシュミルズ・インもそんなもてなし上手な、私の大好きなホテルのひとつ。ここ数年、食事のみに立ち寄ることが多く、宿泊の機会がなかなかなくているのですが、今回親切に館内を案内していただき、近いうちにぜひまた泊まりたいと思いました。

そして、このホテルのいちばんの名物と言ったら…。アイルランドではポピュラーなあるデザートです!
私はこれが大好きなのですが、ここのものはアイルランド島一のおいしさ。

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撮影していたら別のお客さんも集まって来て、みんなで試食(笑)

デザートの名前を言いたくてたまらないのですが、4月に発売される本にのせるのでその時までのお楽しみ…にさせてください。
ニッキーが秘伝のレシピもくれたのですが、レシピを公開してしまうところがシェフの自信の表れですね。いくらレシピ通りに作っても、うちのおいしさにはかないませんよ~と逆に言われたような気がしました!

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C.S.ルイス広場、ベルファーストにオープン

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アスランを見上げる女の子。アスラン像は約3メートルという巨大なものだそうです。11月22日付けBelfast Telegraphより→CS Lewis Square Opens in Belfast

『ナルニア国物語』の作者C.S.ルイス(Clive Staples Lewis, 1898-1963)がベルファースト出身であり、作家ゆかりの地がベルファースト&周辺に数多くあることははこれまでもご紹介させていただきました。(記事の最後に関連過去ブログをまとめてあります)
近年、ルイスゆかりのイースト・ベルファーストでは、ルイスの誕生日&命日のある11月に「C.S. ルイス・フェスティバル」が行われるなど、地元でも彼の功績が再評価されつつあります。(今年のフェスティバルは11月18~22日でした)

そんな中、ルイスに関する新名所がオープン。イースト・ベルファーストに、作家を記念した「C.S.ルイス広場(C.S. Lewis Square)」が新しく出来ました。
約300本の木を植えて整備された広場は、2000人収容可能な規模。『ナルニア国物語』第一作の『ライオンと魔女』に登場するキャラクターたちの巨大な像が建てられたそうです。
ルイスの命日である一昨日の11月22日、お披露目のセレモニーが行われたと報じられました。(ちなみにルイスが息を引き取ったのは1963年11月22日、アイルランド系アメリカ人のジョン・F・ケネディー大統領が暗殺された日です。何か因果が感じられます…)

建立された像は7体。ライオンのアスラン、モーグリム(白い女王に仕えるオオカミ)、ビーバー夫妻、コマドリ、白い女王、石舞台、そして私が大好きな半身半獣のタムナスさん。
モーリン・ヘイロン(Maurice Harron)さんというアイルランド人アーティストの作品だそうです。

広場がオープンしたのは、イースト・ベルファーストのハリウッド・アーチズ(Holywood Arches)というエリア。ベルファーストで進められている、新しいグリーンウェイ(歩行者&自転車専用道路)開発計画の一環として建設されたものです。→コンズウォーター・グリーンウェイ(Connswater Greenway)
ベルファースト東郊外へ延びるコンバー・グリーンウェイ(Comber Greenway)とのインターセクションとなる他、イースト・ベルファーストの新しいコミュニティー・スペースとして期待が寄せられています。

ハリウッド・アーチズには、C.S.ルイス本人がナルニア国への扉を開ける有名な銅像「The Searcher(探求者)」があります。銅像は図書館の前の小さな広場にありますが、新しく出来た広場はそこではなくて、図書館後ろのスペースではないかと思います。
数か月前にその付近に行ったとき、ちょうど工事中でしたので。

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今年8月に撮影したハリウッド・アーチズの「The Searcher」像。銅像の周りに柵が張り巡らされていたので、柵の間にカメラのレンズを入れて撮影。像の後ろにも柵が写っていますが、今思えば広場の建設工事を行っていたのでしょう

一昨日のオープニング・セレモニーには、ルイスの義理の息子ダグラス・グレシャム(Douglas Gresham)さんも出席されました。グレシャムさんがベルファーストを訪れるのは、ルイス生誕100周年を記念して上述の銅像が建てられた1998年以来。
義父がこの光景を見たらさぞかしエクサイトすることでしょう、と話されたとのこと。
スノーマシーンで雪を舞わせ、ナルニア国さながらのマジカルな雰囲気の中、素敵なセレモニーが行われたようです。

次回ベルファーストに行く際には、ぜひともタムナスさんに会って来なくては!楽しみです。

★C.S.ルイス関連の過去ブログ
C.S.ルイスゆかりの地めぐり①~イースト・ベルファースト&近郊
C.S.ルイスゆかりの地めぐり②~聖マーク教会
C.S.ルイスゆかりの地めぐり③~「ナルニア」の舞台は…
サイレント・バレー① 「ナルニア国」を探して秋の森を歩く →この続きは近日中にアップします!
メイド・イン・アイルランドのターキッシュ・デライト

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森の中に巨大ケルト十字架、現る!

北西部ドネゴール地方(Co. Donegal)の森林に巨大なケルト十字架が発見され、話題となっています。

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場所はKillea, Co. Donegal。写真はThe Daily Edgeの10月25日記事より→This incredible drone footage of a Celtic cross in a Donegal forest is going viral

森林の中に巨大なケルト十字架!デリー空港へ向かう飛行機の中から乗客が発見して話題となり、ドローンで撮影された上空からの映像が次々に公開されています。

このミステリアスなケルト十字架の仕掛け人はエイリアン…ではなくて(笑)、地元の森林業者リアム・エメリー(Liam Emmery)さんだそう。常緑樹の森に、秋になると葉の色が変わる、種類の違う木が植えられています。一本の違いもなく、きれいにケルト十字になっているのがスゴイ!
夏は全面緑色になってしまい、ほとんど目立たないのでしょうね。ここのところの晴天続きでいっきに紅葉(黄葉)が進んだアイルランド。深い森の中に隠されていたケルト十字架が、くっきりと浮かび上がって来ました。


ケルト音楽がBGMで流れるこんな映像も

仕掛け人のエメリーさんは、残念ながら6年前にお亡くなりになられたそう。ということは、これが植えられて少なくとも6年以上経っていることになり、これまで人知れず森の中に潜んでいたということでしょうか?

専門家によると、この植林は60~70年保たれるそうです。今後はアイルランドの新しい名所として、話題となるかも…?
遊覧飛行でもしないと見ることは難しそうですが(笑)。

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アンティーク・レースの宝庫、シーリン・アイリッシュ・レース博物館

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クロシェ編みのシャムロックなどを編み込んだガウン

昨日、アイルランドのレース編みに興味のあるお客様を、ダブリンから日帰りでシーリン・アイリッシュ・レース博物館(The Sheelin Irish Lace Shop and Museum, Bellanaleck, Co. Fermanagh, Northern Ireland)へお連れしました。

ダブリンからエニスキレン方面へ片道約2時間、国境に近い小さな集落バラナリックにある、素敵な茅葺き屋根の建物がショップ&博物館。
アンティーク・レースの小物、ドレス、バッグやショール、ウェディングドレスなどなど約700点が所狭しと陳列されているショップ奥に、19世紀半ばから20世紀初頭のコレクションがあります。

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大きくて立派な茅葺き屋根の建物

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20世紀初頭のヴィンテージ・ドレスがずらり。こちらは非売品です

説明によると、アイルランドのレースには5つの体系があり、アイリッシュ・クロシェ、ヨール&ケンメアのニードルレース、イ二シュマクセイント(この周辺の今はなくなってしまった地名)のニードルレース、キャリクマクロス・レース、リマリック・レース。それぞれ異なる技法があり、糸も綿を使ったり、麻を使ったり。

レース編みは19世紀半ば、ジャガイモの不作による大飢饉などで失業者が蔓延する中、女性や子供も手に職をつける必要が出てきて、地域の修道院などが率先して指導したことにより普及しました。
第一次世界大戦中、戦火を逃れてアイルランドにやって来たベルギー移民により大量生産された時代も。

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クロシェのシャムロック・モチーフ

小さなショップ&博物館ですが、レース好き、ヴィンテージ&アンティーク好きな方にはお宝満載の場所。
ダブリンからはるばる訪ねたお客様も、こんなにたくさんのアンティーク・レースが見られるとは…と感激して下さり、良かったです。

The Sheelin Irish Lace Shop and Museum
178 Derrylin Rd, Bellanaleck, Co. Fermanagh, N. Ireland BT92 2BA
Tel: +442866 348052
月~土 10:00—18:00、日休/カフェも併設

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サイレント・バレー① 「ナルニア国」を探して秋の森を歩く

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深い深いナルニアの森を連想させる風景…

昨日、北アイルランド在住の友人を誘って、ずっと行ってみたいと思っていたモーン山脈(Mourne Moutanis)中のサイレント・バレー(Silent Valley Mountain Park, Co. Down, Northern Ireland)へ出かけてきました。

モーン山脈は1993年より英国ナショナル・トラストの所有となっており、山や湖など1300エーカーが保護区域となっています。サイレント・バレーはその中にある山岳公園で、近年園内のトレイルが整備され、高い山に登らなくともモーン山中を歩いて楽しめるようになりました。

入り口でもらったマップを見ると、1.6~3.4キロまで合計6種類のトレイルがあります。
いちばん長いマウンテン・トレイルを歩ければよかったのですが、そこまで歩く準備をしていなかったので(朝の車のトラブルで靴を持ってこれなかった!)、最短のナイチャー・トレイルをのんびり歩くことに。

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山の中だからでしょうか、低地ではすでに盛りが終わったベル・ヘザー(ヒースの一種)がこんなにきれいに咲いていました

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キルキール川(Kilkeel River)にかかる橋の上で

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大好きなホクシャの花。森の妖精が住んでいそう

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妖精がつけた目印?

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シャムロックも

花や草木を見ながら歩く森の中のトレイル。あとで読んだ説明書きによると、私たちが歩いた道は20世紀初めにこの地に貯水池を建設した際、労働者が機械を運んで行き来した道だったそうです。
小鳥のさえずりと木々が揺れる音しか聞こえない静かな道でしたが、当時は過酷な重労働がここで行われていたのでした。

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この森で多く見かけたフェザントベリー(Pheasant berry=別名ヒマラヤハニーサックル)の花。野生のフェザントベリーをこんなにたくさん見たのは初めて。まるで風に揺れる妖精の女王様のイヤリングのようね~と友人と二人で感激しきり

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ウォーキング途中でのどをうるおしてくれたブラックベリー。大粒に実って甘くておいしかったです

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秋の森は可愛い赤い実がいっぱい

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ナナカマドもどこもかしかも真っ赤な実をつけています

このモーン山脈と周辺は、ベルファースト出身のC.S.ルイス(Clive Staples Lewis, 1898-1963)の『ナルニア国物語』の舞台と言われる場所。ルイスの想像上の王国ナルニア国は、この地のマジカルな景色と雰囲気から着想を得て、ふくらんでいったようです。
私たちものそんな面影を求めてサイレント・バレーへ来てみたのですが、森の散策だけで十分ナルニアに迷い込んだような気分。そしてさらにこのあと、絶景を目にすることに…。

続きは後日、書きますね。

※C.S.ルイスに関する過去ブログ:C.S.ルイスゆかりの地めぐり①~イースト・ベルファースト&近郊C.S.ルイスゆかりの地めぐり②~聖マーク教会

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アイルランドでいちばんおいしいスティッキータフィープディング!(ブッシュミルズ・イン)

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湯気のたった出来立てスティッキー・タフィー・プディング♪

北アイルランドのジャイアンツ・コーズウェイ(Giant's Causeway)近くにあるブッシュミルズ・イン(Bushmills Inn, Co Antrim, Northern Ireland)は宿泊するもよし、お食事に立ち寄るも良しという、昔の旅籠屋風の素敵なホテル。
ここでいただくスティッキー・タフィー・プディング(Sticky toffey Pudding)がおいしくて、おいしくて、これを食べるためにわざわざ立ち寄ってしまうほどです。

スティッキー・タフィー・プディングとは、見た目は地味な茶色の焼き菓子。ブディングとは焼き菓子のことで、アイルランドの年配の人の中にはデザートのことを「プディング」と言う人も。ちょっとイギリス風な、古めかしい言い方なのでしょうね。

スティッキー(=ベタベタした)なんて名前なので、いかにも甘そう~と敬遠してしまう人もいるかと思いますが、ベタベタしたカラメル・ソースに塩気があって、ただ甘いだけではない奥深い味わいがあります。
通常は暖かい状態で出され、添えてある冷たいクリーム(ブッシュミルズ・インではクリームですが、アイスクリームを添える場合もあり)と相性ばっちり。ブッシュミルズは世界最古の蒸留所であるブッシュミルズ・ウィスキーのお膝元ですから、ブッシュミルズ・インのものは、ウィスキー入りのカラメル・ソースがかかっています。これが病みつきになるおいしさ♪

やわらかい焼き菓子なので、大きなスプーンでモリモリと、まるでご飯を食べるようにいただくのが王道…と私は思っています(笑)。
コーズウェイ見学の際にぜひ立ち寄って、お試しを。

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C.S.ルイスゆかりの地めぐり②~聖マーク教会

C.S.ルイスゆかりの地めぐり①~イースト・ベルファースト&近郊で触れた、聖マーク教会についてご紹介したいと思います。

ベルファースト出身の『ナルニア国物語』の作者C.S.ルイス(Clive Staples Lewis, 1898-1963)は、1899年1月、ドゥンデラ・アベニュー(Dundela Avenue, Belfast)の生家から徒歩10分程のところにある聖マーク教会(St Mark's Church Dundela, Holywood Road, Belfast)にて、牧師であった母方の祖父より洗礼を受けました。

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1873~1878年建立の聖マーク教会。ビクトリア時代の英国の著名な建築家、ウィリアム・バターフィールド(William Butterfield)設計。ロンドン一高い塔を持つAll Saints Margaret Streetや、オックスフォードの Keble Collegeを手がけたバターフィールドが、アイルランドでの唯一手がけた建造物です

ルイスを洗礼した祖父のトーマス・ロバート・ハミルトン牧師(Rev. Thomas Robert Hamilton)は、聖マーク教会の初代牧師でした。ルイスの両親が結婚式を挙げたのもこの教会ですし、少年時代のルイスが家族とともに礼拝に参列したのもここ、ルイス一家とは切っても切り離せない縁の深い場所です。

私がお客様と聖マーク教会を訪ねたのは、日曜日の礼拝が終わった直後でした。その場に居合わせた教区民の方々が思いがけず歓迎してくださり、どこからともなく職員の方が出てきて、親切にも教会内部を案内してくださいました。
教区の方々はルイスとのつながりを誇りに思っておられるようで、思った以上にルイスゆかりのものがいろいろあり、感激しました。

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ルイスが洗礼を受けた洗礼盤。今でも使われることがあるそうです

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「ルイスの窓(Lewis Window)」と呼ばれるステンドグラス。1933年にルイス兄弟により教会に寄贈されました。左から聖ルーク(ルカ)、聖ジェイムズ(ヤコブ)、聖マーク(マルコ)。真ん中の聖ジェームズが手にしている聖杯は、1908年にルイス家が教会に寄贈したもののレプリカだと言われています。(こちらの資料に聖杯の写真あり)聖ジェイムズの足元にはラテン語で、ルイスの両親の名前&亡くなった年月日が記されていますので、両親のメモリアルなのでしょう

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ルイスの祖父であり、教会の初代牧師であったトーマス・ロバート・ハミルトン牧師の記念ステンドグラス。1906年のもの。写真には写っていませんが、ステンドグラス下に英語でその旨を記載したプレートがあります

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ルイス家が教会に寄贈した聖書台は今も使用されています。福音記者の聖ジョン(ヨハネ)を表すワシ(ワシの広げた羽が神の言葉を運ぶとの考えから)

この教会は身廊と塔が出来たところで資金不足となり、内陣がないままいったん完成となりました。リネン産業で財を築いた富豪ウィリアム・ユアート(William Ewartt)の資金援助により、1891年、当初のバターフィールドのデザイン通りに最終的に完成。(それでも身廊の幅が予定より狭いままだそうですが)ルイスが生まれる7年前のことです。
ユアート家はルイスの母方と親戚だったので(友人…の記憶違いかもしれません。のちほど調べてお知らせします)、両家の子供たちは親しくしており、互いに行き来があったと案内してくれた職員の方が教えてくださいました。

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祭壇側から見た教会内部全景。船底型の天井は、なんとリネン張り!リネン産業で栄えたベルファーストならではですね

教会内部をご案内していただき、ゲストブックに記帳をして、お礼を言って教会を後にしようとしたその時。ご案内くださった職員の方が、「そうだ、もうひとつお見せしたいものがあった!こちらへどうぞ…」と言って、教会の外へ。
一体なんだろう…と興味津々でついていくと、お隣りの建物の赤い扉にある、このドアノブを差し示すではありませんか。

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ライオンのドアノブ!思わず、アスラ~ン!と叫びそうになってしまいました!

事前にこの教会のことを調べていた時、「扉の取っ手がライオン」とどこかで読んでいたので、てっきり教会の扉だと思い、見当たらないなあ~と思っていたのでした。
隣りの元牧師館(現在は教会職員のオフィス)の扉だったとは!これは教えてもらわなかったら探せなかったでしょう。しかも、思い出したかのように最後に付け足して案内してくださったのが、こちらの心を読んでくれていたかのようで何とも不思議。

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ナルニアへ行けるかな?(笑)ドアノブに手をかけるお客様(ちなみに扉は開きませんでした…)

そう、ここは聖マーク(マルコ)教会。聖マークはライオンで象徴されるのです。(ヴェネチアのサン・マルコ寺院に金のライオンのマークがついていますね)
『ナルニア国物語』に詳しい方はご存知かと思いますが、物語に登場するライオンのアスランは、物語をキリスト教的視点で捕えた場合、神(イエス・キリスト)と見立てられます。14歳でキリスト教の信仰を捨て無神論者となったルイスは、31歳で再び信心し、その後は信徒伝道者としてさまざまなキリスト教関連の著作を著しています。
一度は信仰に挫折したものの、ルイスのキリスト教徒としての人生はこの聖マーク教会から始まったのです。それを思うと聖マークの象徴であるライオンがアスラン(=神)として物語に登場するのは合点がいき、ルイス自身のパーソナルな体験や想いがそこに込められている思えてなりません。
要するにここが、キリスト教徒としてのC.S.ルイスの原点なのでした。

少年時代のルイスはこのドアノブを押して扉を開け、牧師であったお祖父さんを訪ねたことでしょう。扉の向こうに魔法の国(=神の秩序が保たれる理想郷)ナルニアがある、という発想の伏線が、なんとここにもあったか!と思わず膝を打ちたくなる出来事でした。

※『ナルニア国物語』に込められたキリスト教的視点にご興味のある方は、富山鹿島町教会の牧師さんが書かれたこちら連載エッセイを読んでみてください。読み応えあり、とても興味深いです。→「ナルニア国物語」についての牧師・藤掛順一さんのエッセイ

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C.S.ルイスゆかりの地めぐり①~イースト・ベルファースト&近郊

美しい夏のお天気に恵まれた今日のベルファースト(Belfast)。海外の児童文学や、英国関連の著書もおありのライターの方を、『ナルニア国物語』の作者C.S.ルイス(Clive Staples Lewis, 1898-1963)ゆかりの地めぐりにご案内しました。
自分自身の覚え書きのためにも、ご案内した場所とルイスとの関連を記しておこうと思います。

C.S.ルイスは1898年11月29日、弁護士の父と牧師の娘であった母との間に生まれました。
その頃のベルファーストは、造船とリネンを中心に産業革命の恩恵を受けて栄えていた時代。ルイスの父方の祖父はダブリンから産業革命の波に乗ってベルファーストへやって来て、造船関係のビジネスをおこして成功しました。ルイスの生まれる前年にベルファーストは町から市へと昇格、ルイスが生まれた年にシティーホールの建設が始まっています。
そんな活気に溢れた時代のベルファーストで、ルイスはアッパークラスのお坊ちゃんとして生まれ育ったのでした。

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ドゥンデラ・アベニュー47番地(47 Dundela Avenue)で生まれました。生家は残っておらず、生家跡地に建つアパートの壁に記念プレートがあります(小学校の向かい側)

1999年1月、ルイスは生家跡地から徒歩10分程のところにある聖マーク教会(Sr Mark's Church Dundela, Holywood Road)で、牧師であったルイスの母方の祖父より洗礼を受けます。
この教会のことはルイス一家がのちに寄贈したものなどを含め特筆すべきことがいろいろありますので、後日あたらためてご紹介したいと思います。

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ルイスが洗礼を受けた聖マーク教会(Sr Mark's Church Dundela, Holywood Road)

1905年、ルイス7歳の時に、一家は高台の高級住宅地に移り住みます。リトルリー(76 Little Lea, Circular Road)という名の、赤れんがの切妻屋根の邸宅でした。

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Little Leaとは「小さな場所」という意味だそうですが、屋号に反して大邸宅です。現在はプライベートのため家全景を写真を納めるのははばかられたので、門柱のみ

リトルリーの屋根裏がルイス少年の部屋で、父親に買ってもらった双眼鏡(天体望遠鏡と書かれているものもあり)で窓から造船所のあるベルファーストの街を眺めていたと聞いたことがあります。
世界最大級の造船所であったハーランド・アンド・ウォルフ社 (Harland and Wolff)がタイタニック号を造船していたのが1909~1910年、ルイス10~11歳の頃。そんな様子も、もしかするとつぶさに見ていたかもしれませんね。

『ナルニア国物語』は、ぺペンシー家の4人兄弟姉妹が、疎開先の家にあった衣装ダンスの扉を開けてナルニアという不思議な国へ冒険に繰り出す…というお話ですが、そのモデルとなった衣装ダンスがこのリトル・リーにあったと言われています。
父方の祖父がオーク材を細工して作った大きな衣装ダンスで、兄と一緒にタンスの中にもぐりこんでは冒険物語を語って過ごしたそうですが、そんな少年時代のささいな思い出からのちの名作が生まれたのですね。

リトルリーでの少年時代は、その後のルイスの人生にさまざまな影響を与えることとなります。
本をたくさん読む少年で、ビアトリクス・ポターの絵本やイーディス・ネズビットが愛読書。ポターの動物たちにインスピレーションを得て、兄と一緒に「ボクセン」という架空の動物王国を作ったのもこの頃です。(『ナルニア』に出てくる言葉をしゃべる動物たちの発想はここから来たのかも)
1908年、ルイスが10歳の時、最愛の母が癌であの世へ旅立ってしまうという悲劇が起こったのもこの家に暮らしていた時でした。幼くして母を失ったことはルイスの生涯に渡り、大きな影を落とすこととなります。

ルイスは主に自宅での個人指導で教育されました。母の死後、兄と同じ英国の寄宿学校へ行くのですが、ほどなく学校が閉鎖。その後、リトルリー近くのキャンベル・カレッジ(Campbell College)へ2か月間だけ通っていたことがありました。

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1894年創立の名門男子校キャンベル・カレッジ

この学校のドライブウェイにある街燈が、衣装ダンスを開けたところに立っているナルニア国の街灯のモデルであると言われています。(別の説もあり)

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キャンベル・カレッジの街灯

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ポーリン・ベインズの『ライオンと魔女』の中の有名な挿絵。街灯を見比べてみると、やっぱりキャンベル・カレッジのものとそっくりですよね。ルーシーがタムナスさんと初めて会うこのシーンはナルニア全編の中でも特に印象的。特にこの絵のイメージで記憶に焼き付いています(「ナルニア国の父C.S.ルイス」岩波書店より)

ちなみに、この挿絵をあらためて見てみると、木立の感じに見覚えが…。今や「ゲーム・オヴ・スローンズ(Game of Thrones)」のロケ地として大人気の、同じく北アイルランドにあるダークヘッジズ(Dark Hedges)とよく似ていませんか? モデル説(根拠なし)を唱えたくなるほど(笑)。
ブナの並木道、ダークヘッジズ

C.S.ルイスがキャンベル・カレッジに2か月しか通わなかったのは、呼吸器系の病気になったからでした。
その後はイングランドの温泉療養地にある学校へ行ったり(その時期にキリスト教の信仰を離れ、神話やオカルトにはまる)、リトルリーに戻り個人指導を受けたりして、1916年、17歳の時にオックスフォード大学の奨学金を授与され、最終的にアイルランドを離れることになります。

ルイス生誕100周年の1998年に、ハリウッド・アーチズ図書館(Holywood Arches Library,4-12 Holywood Road)の前にC.S.ルイスの銅像が建立されました。
今日お客様をお連れして行ってみると、歩行者&サイクリスト用の道を作るための開発プロジェクトにより、その辺り一帯が工事現場と化していました。ルイス像にもカバーがかけられていて、残念ながらお客様にお見せすることが出来ませんでした。
(今年2月には見られたので、その後にこうなったのでしょう。カバーがいつ外されるのかは不明)

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ルイス本人が衣装ダンスの扉を開けようとしている、こんな銅像(2005年撮影)→ベルファーストとナルニア国

近くにルイスにちなむ壁画(Murals)が2か所あるので、そこもご案内。

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ルイスの顔、アスラン、街燈、ケア・バラベル城など。長い壁画で一枚の写真に納まらず(Pansy Street off Dee Street)

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こちらには衣装ダンスをあけるルーシーも登場。白い魔女の顔が怖い…(Convention Court off Ballymacarrett Road)

アイルランドを離れた後も、折に触れてベルファーストを訪れていたというルイス。
57歳の時にユダヤ系アメリカ人ジョイ・ディビッドマンと結婚し、ハネムーンで北アイルランドを訪れた時には、ベルファースト近郊のクロウフォーズバーンという小さな村に滞在しています。
ルイスとジョイが滞在した宿は今や結婚式で人気の4つ星ホテル。今日は時間がなくてそこまでお客様をお連れ出来なかったので、別の時に取った写真です。

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オールド・イン(Old Inn, Crawfordsburn, Co. Down)。茅葺き屋根の部分は1600年代の歴史的な建物

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レストランにはルイスの名が付けられています

『ナルニア国物語』は、私が子供時代に大好きだった文学作品のひとつです。その作者が生まれ育った島に将来住むことになるとは思いもよらず、当時は衣装ダンスのマジックにとてもとても憧れていました。
こうしてあらためてゆかりの地めぐりをしてみると、ルイスはナルニアを創作しながら、自分の幼少時代を追体験していたのだと思えてなりません。
久しぶりにもう一度、ナルニアを読み返してみたくなりました。


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リスバーン・ロードのセレクトショップ(ハリソン)

ベルファースト(Belfast)にて、仕事の合間に友人とショッピング。
…の予定は本当はなかったのですが、リスバーン・ロードを歩いていたら良さそうなセレクトショップがあり、ちょっと見てみましょう、と入ってみたところ、大・大・大リテールセラピー(←「衝動買い」というより聞こえがいいですよね・笑)に発展してしまったのでした。

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このショップ、決して新しくオープンしたわけでなく以前からあったというのですが気が付かなかった…

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715-719&721 Lisburn Road, Belfast, Co. Antrim BT9 7GU
Tel: +442890 683910/+442890 666016
オープン 9:30-17:30、日曜日休業

私の好きなMason Scotchや、Guess、French Connectionといったポピュラーなブランドに加え、デンマーク、オーストラリア、ビンテージ風英国ブランドなどが多彩な品揃え。セレクトショップとしては店内も広く(2件が中でつながっている)、見応えたっぷり。

さんざん見て回ったあとで私と友人がさらにはまったのが、店内奥にあるセールのコーナー。定価の6割、7割引きのドレス、トップ、ボトムやジャケットがずらり。
あれやこれやと試着して楽しみ、夏に向けてワードロープに新しく加わることになったのがこの5着。我ながら買い過ぎかな…とも思いましたが、1着20ポンド台のドレスがほとんどなのです。「これはショップに置いていけないよね~」と友人と言い合ってはレジへ運びました(笑)。

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奥の2着はビンテージ風ですが、キュロット・タイプなので夜の外出時にカジュアルに着られそう。手前2着はFrench Connectionです♪

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ドレスの他、トップも2着購入。バーゲン品でなかったのは、黒皮ポケットのついたノースリーブのボーダートップのみです

一緒に選んだり、試着し合ったりしてくれた友人のおかげで、これまでのテイストとちょっと違ったドレスがワードロープに加わったのが嬉しい。人に勧められて着てみたら意外に似合った…ということはよくあるので、時々、家族や仲良しの友人とショッピングすると新しい発見があって楽しいものです。

私はベルファーストで洋服を買うことが割に多いのですが(ダブリンよりすいている、量販店ばかりになってしまったダブリンに比べてブティックやセレクトショップが多く掘り出し物に合える)、以前からのお気に入りのショップはヨーク・クロウジング
ヨークも今も大好きですが、あちらは高級&おしゃれカジュアルが主流。ハリソンはより大衆的なセレクトで、日常着として着られるドレス(ワンピース)の品揃えが豊富なので、ドレス派の私には嬉しいショップです。

そして…セール品はまさに宝の山でした♪

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ベルファーストの街を一望できるドーム

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ドームから見上げたベルファーストの青空!

ベルファースト(Belfast)で街歩きの途中に、お客様とビクトリアスクエアのショッピングモール(Victoria Square)内の展望台、ドーム(The Dome, Victoria Sqaure, Belfast)に上がってみました。

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上りはエレベーター、下りは階段を使って降りてきました

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ベルファーストの街がほぼ360度、一望できます。ベルファーストのランドマーク、タイタニック号を造船したハーランドアンドウォルフ社の黄色いクレーンも見えています(写真左上、ちょっとうすいですが…)

ダブリンのギネスストアハウスに匹敵(?)するベルファーストの展望ポイント。しかもこちらは、入場料無料です。

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ヴィクトリア通り(Victoria Street)側の入り口には、19世紀の黄色いドームが。現代のガラスのドームはこれとシンクロしています

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